皆さん、こんにちは。ガブ動物病院です!
新年あけましておめでとうございます🌅
本年も、どうぞよろしくお願い致します。
新しい年を迎え、新しい家族(ワンちゃん・ネコちゃん)との新たな生活を、と考えていらっしゃる方も多いのではないでしょうか。
ブリーダーさんやペットショップさんからだけでなく、もしかしたら外猫ちゃんとの出会いから新たな家族を迎え入れる事もあるかもしれません。
外猫ちゃんを家族に迎え入れる場合、とくに注意しなければいけないのが感染症の問題。
そこで今回は、とくに質問の多い「猫免疫不全ウイルス(FIV)」「猫白血病ウイルス(FeLV)」について皆さんと一緒に勉強していきたいと思います!
猫免疫不全ウイルス(FIV)ってなに?
まずは猫免疫不全ウイルス(FIV)について勉強していきましょう。
FIVと聞くと、連想されるのがHIV(ヒト免疫不全ウイルス)、そしてそれに伴い発症するAIDS(エイズ)という病気でしょう。
FIVはHIVと同じレトロウイルスと呼ばれる仲間に属しています(後述するFeLVも同じ仲間です)。
一緒に生活しているだけでは簡単に感染しない、というのもHIVとよく似ています(FeLVとの大きな違いの一つとなります)。
そんな特徴から「ネコエイズ」といわれるFIV感染ではありますが、じつはHIVとは違い、重篤な症状を出さずに生涯を全うすることも少なくありません。
FIVの特徴をまとめると、
- レトロウイルスの仲間
- エンベロープという膜を表面に持っているため、消毒には非常に弱い(ハイターなどの次亜塩素酸だけでなく、アルコールや洗剤でも倒すことが出来ます!)
- ネコの体外に出ると数分で死滅してしまう(感染対策を考えるのに、とっても大事!)
となります。
これらの特徴は、このあとお話する内容にもふか~く関わってくるため、よく覚えておいてください!
FIVはどうやって感染するの?
「交尾からの感染」「垂直感染(母から子への感染)」も起こる可能性がありますが、圧倒的に多いのは
- 喧嘩(けんか)による咬傷
です!(実際、FIV感染が確認されるのは雄が圧倒的に多いです)
さきほど説明したように、FIVはネコの体外ではほとんど生き残ることは出来ません。
そのため、「食事や飲み水のお皿が一緒」「お互いにグルーミングする」「トイレが一緒」「ベッドが一緒」といった日常生活で感染する可能性は非常に低いです。
FIVに感染すると、どうなる?症状は?
「ネコエイズ」という呼び名から重篤な症状を思い浮かべる方もいらっしゃるかもしれませんが、じつは意外と大きな症状なく生涯を全うする子によく出会います。
FIVに感染してしまうと、身体の中でウイルスは増殖します(急性期)。
ただ、ある程度自分の免疫でウイルスを抑え込んでしまうと、その後の状態は安定してしまい、目立った症状は引き起こさなくなります。
ただ、高齢になってくると、免疫力が落ちてくるタイミングでFIVが再び増加する可能性があるため、注意が必要です。
FIVに関連して引き起こされる病気としては、
- 免疫不全、免疫疾患
- リンパ腫
- 末期で神経障害、腎障害
- 感染が起こりやすくなる(細菌、ウイルス、真菌、寄生虫など)
- 進行すると好中球減少、リンパ球減少、貧血
- 歯肉炎、口内炎(よく起こる)
があげられますが、歯肉炎・口内炎以外の症状は比較的まれと言えるでしょう。
FIVの検査って?
一般的な方法は、採血をして簡易検査キットを用いる方法です。


写真に示すように、FIVだけでなくFeLVも一緒に検査できるようになっており、赤い線の本数で感染があるかを判断します。
この後の説明で大事になってくるのが、「抗原」と「抗体」という言葉です。
抗原とは、「ウイルスなどの病原体そのもの、もしくはその一部分のこと」です。
抗体とは、「抗原を退治するために身体がつくりだすタンパク質」のことです。敵を倒すための武器、といったイメージです。
簡易検査キットで調べているのは、それぞれ
- FIV:抗体の有無
- FeLV:抗原の有無
となります(結果の解釈をする上で、これは非常に重要になります)。
もう一つの方法は、コロナウイルス検査でおなじみの「PCR検査」です。
ウイルスの遺伝子が無いかをチェックする方法で、外注検査で調べることが出来ます。
FIV陽性と診断された!どうする?
簡易検査キットで陽性と診断された場合、
- FIVに感染している
- 母親からもらった移行抗体がある(母親は感染しているが、本人は感染していない)
- FIVワクチンを接種している(ワクチンによる抗体を持っている)
- 偽陽性(本当は感染していないけど、感染していると出てしまった):可能性低い
の、いずれかの可能性が考えられます。
特に大事なのが、2番目にあげた「移行抗体の影響」です。
子猫を保護した場合、その多くは母親の免疫を受け継いだ状態が続いています。
さきほど、FIVの簡易検査は抗体を調べる検査だと説明しました。
そのため、母親がFIVに感染していた場合、子猫が感染していなくともFIVに対する抗体を受け継いだ状態で生まれてきます。
移行抗体は、長いと生後4ヶ月頃まで無くなりません。
そのため子猫の場合、検査で陽性だったとしても移行抗体がなくなったタイミングで再チェックをする必要があります。
検査を急ぐ「*特別な事情」がなければ、避妊・去勢手術の術前検査の時に一緒に調べてみても良いのではないかと思います。
(*同居猫がいる、保護主をすぐに探すので感染の有無をすぐに知りたい.etc)
検査は陰性だった!ひと安心?
検査が陰性だったから感染はしていない!…とは言い切れません。
検査が陰性だった場合、
- FIVには感染していない
- FIVに感染しているが、まだ抗体が出来ていない
- 偽陰性(本当は感染しているが、検査で陽性と出なかった):可能性非常に低い
- FIV末期(非常に稀ではあるが、末期で陰性化してしまっている):可能性低い
の、いずれかの可能性が考えられます。
特に大事なのが、2番目にあげた「感染しているが、抗体が出来ていない」場合です。
よくあるのは、「家から脱走してしまって2週間後に帰ってきました!」というケース。
病院に連れていき、血液検査でFIV・FeLVも陰性でひと安心。…ではありません!
繰り返しになりますが、検査キットは「FIVに対する抗体」を調べる検査です。
そのため、仮にFIVに感染していても、FIVに対して身体が反応する前であれば検査は陰性となってしまいます。
上記のようなケースでは、お家に戻ってきてから2か月後位のタイミングで再検査を行いましょう。
*お家に戻ってきた直後の病院での健康チェック・検査は大事です!(念のため)
FIV感染の治療って?
まずは、ほかの子にFIVを広めないための対策をとりましょう。
- 外に出る子であれば、外に出さない
- 避妊・去勢手術をする(交尾・垂直感染・ケンカによる感染の予防)
始めにお話した通り、FIVはよほどの事が無い限り同居のネコちゃんに感染することはありません。
FIVワクチンなどもありますが、よほどの事が無い限り接種は検討しなくても良いかと思います。
では、治療はどうするのか、というと
- 対症療法(FIV感染に関連して出てきた症状への治療)
となります。
これも始めにお話した通り、FIV感染を起こした子であっても、そのまま大きな症状なく生涯を全うすることは珍しくありません。
FIVに感染してしまって(保護時点ですでに感染してしまっている)も悲観することなく、温かく見守って頂ければと思います。
さいごに
FeLV(猫白血病ウイルス)は⁉
と思ったみなさん…
次回に続きます(FIVだけでボリュームが多すぎてしまいました…)。

